実数全体の集合のデデキント切断と最大元・最小元

実数全体の集合のデデキント切断と最大元・最小元
実数全体の集合\(\mathbb{R}\)の任意のデデキント切断\(\left(A,B\right)\)について次のどちらかが成り立つ。
・\(A\)に最大元があり、\(B\)には最小元がない。
・\(A\)に最大元がなく、\(B\)には最小元がある。
デデキント切断の定義より、\(B\ne\emptyset\)なので、\(B\)の任意の元は\(A\)の上界になっている。
このとき上限定理より、上限\(\sup A\)が存在し、\(\sup A\in A\)または\(\sup A\in B\)のどちらかになる。
\(\sup A\in A\)なら\(A\)の最大元は\(\sup A\)となり、\(B\)の最小元は存在しない。
なぜなら\(B\)の最小元を\(x\in B\)と仮定すると、\(\sup A<\frac{x+\sup A}{2}\)より、\(\frac{x+\sup A}{2}\in B\)となり、\(x\)が最小元なので\(x<\frac{x+\sup A}{2}\)より、\(x<\sup A\)となり\(B\)の元より\(A\)の元が大きくなって矛盾するからである。
同様に\(\sup A\in B\)なら\(B\)の最小元は\(\sup A\)となり、\(A\)の最大元は存在しない。
\(B\)の最小元は\(\sup A\)となるのは、\(B\)の最小元が\(\sup A\)ではなく\(x\in B\)と仮定すると、ある\(y\in A\)が存在して、\(x<y<\sup A\)を満たし\(B\)の元より\(A\)の元が大きくなって矛盾するからである。
また\(A\)の最大元は存在しないことは、\(A\)の最大元を\(x\in A\)と仮定すると、\(\frac{x+\sup A}{2}<\sup A\)より、\(\frac{x+\sup A}{2}\in A\)となり、\(x\)が最大元なので\(\frac{x+\sup A}{2}<x\)より、\(\sup A<x\)となり\(B\)の元より\(A\)の元が大きくなって矛盾するからである。
故に題意は成り立つ。

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実数全体の集合のデデキント切断と最大元・最小元
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