距離空間の部分集合が完備ならば閉集合
距離空間の部分集合が完備ならば閉集合
距離空間\(\left(X,d\right)\)の部分集合\(A\subseteq X\)が完備ならば、\(A\)は閉集合である。
逆は一般的に成り立たない。
\(\Rightarrow\)
対偶で示す。
\(A\)が閉集合でないと仮定すると、\(A\)のある点列\(\left(a_{n}\right)_{n\in\mathbb{N}}\)の収束先\(a\)は\(a\notin A\)となる。
収束先が存在するので、この点列はコーシー列であるが、コーシー列で収束先\(a\)が\(a\notin A\)であるので完備ではない。
故に\(A\)は閉集合でないならば完備ではないので対偶をとると、\(\Rightarrow\)が示される。
\(\Leftarrow\)は一般的に成り立たない。
反例で示す。
\(X=\left(0,1\right)\)として通常距離をとり部分集合\(A\)を\(A=X\)とすると、\(A\)は全体集合なので閉集合であるが、コーシー列\(\left(a_{n}=\frac{1}{n}\right)_{n\in\mathbb{N}}\)の収束先0は\(0\notin A\)であるので完備ではない。
故に\(\Leftarrow\)は一般的に成り立たない。
ページ情報
タイトル | 距離空間の部分集合が完備ならば閉集合 |
URL | https://www.nomuramath.com/irth2e98/ |
SNSボタン |
距離空間の有界・直径と全有界の定義
\[
\diam\left(A\right):=\sup\left\{ d\left(a,b\right);a,b\in A\right\}
\]
コーシー列と部分列の収束
コーシー列と部分列の収束
距離空間では連続と点列連続は同値
距離空間での開集合と閉集合の定義
\[
\forall x\in A,\exists\epsilon>0,U_{\epsilon}\left(x\right)\subseteq A
\]