距離空間での完備と閉集合の関係
距離空間での完備と閉集合の関係
距離空間では完備と閉集合に次の関係がある。
逆は一般的に成り立たない。
距離空間では完備と閉集合に次の関係がある。
(1)
距離空間\(\left(X,d\right)\)の部分集合\(A\subseteq X\)が完備ならば、\(A\)は閉集合である。逆は一般的に成り立たない。
(2)
完備な距離空間\(\left(X,d\right)\)の部分集合\(A\subseteq X\)があるとき、\(A\)が完備であることと、\(A\)が閉集合になることは同値である。(1)
\(\Rightarrow\)
任意の\(x\in A^{a}\)について、ある点列\(\left(x_{k}\right)_{k\in\mathbb{N}}\subseteq A\)が存在し、\(\lim_{k\rightarrow\infty}x_{k}=x\)となり収束列となる。収束列ならばコーシー列なので\(\left(x_{k}\right)_{k\in\mathbb{N}}\)はコーシー列となる。
このとき、\(A\)は完備なのでコーシー列\(\left(x_{k}\right)_{k\in\mathbb{N}}\)は\(A\)の元\(a\in A\)に収束するので、\(\lim_{k\rightarrow\infty}x_{k}=a\)となる。
これより、\(x=\lim_{k\rightarrow\infty}x_{k}=a\in A\)となるので、\(A^{a}\subseteq A\)となる。
また、一般的に\(A\subseteq A^{a}\)なので\(A=A^{a}\)となり\(A\)は閉集合となる。
従って、距離空間では完備ならば閉集合が成り立つ。
\(\Leftarrow\)は一般的に成り立たない。
反例で示す。\(X=\left(0,1\right)\)として通常距離をとり部分集合\(A\)を\(A=X\)とすると、\(A\)は全体集合なので閉集合であるが、コーシー列\(\left(a_{n}=\frac{1}{n}\right)_{n\in\mathbb{N}}\)の収束先0は\(0\notin A\)であるので完備ではない。
故に\(\Leftarrow\)は一般的に成り立たない。
(1)-2
\(\Rightarrow\)
\(A\)が完備であるとき、任意のコーシー列\(\left(a_{n}\right)_{n\in\mathbb{N}}\subseteq A\)に対し、ある\(a\in A\)が存在して、\(\lim_{n\rightarrow\infty}d\left(a_{n},a\right)=0\)となる。このとき明らかに、任意のコーシー列\(\left(a_{n}\right)_{n\in\mathbb{N}}\subseteq A\)に対し、ある\(a\in X\)が存在して、\(\lim_{n\rightarrow\infty}d\left(a_{n},a\right)=0\)ならば\(a\in A\)である。
従って\(\Rightarrow\)が成り立つ。
(1)-3
\(\Rightarrow\)
対偶で示す。\(A\)は閉集合でないならば完備ではないことを示せばよい。
\(A\)が閉集合でないとき、\(A\)の任意の点列\(\left(a_{n}\right)_{n\in\mathbb{N}}\subseteq A\)について、\(\left(a_{n}\right)_{n\in\mathbb{N}}\)の収束先\(a\)が存在するならば\(a\notin A^{a}\)となる。
収束先が存在するとき、この点列はコーシー列であるが、コーシー列で収束先\(a\)が\(a\notin A^{a}\)より、\(a\notin A\)であるので完備ではない。
故に\(A\)は閉集合でないならば完備ではないので対偶をとると、\(\Rightarrow\)が示される。
(2)
\(\Rightarrow\)
任意の\(x\in A^{a}\)について、\(x\)は\(A\)の閉包の元なので、ある点列\(\left(x_{k}\right)_{k\in\mathbb{N}}\subseteq A\)が存在し、\(\lim_{k\rightarrow\infty}x_{k}=x\)とできる。条件より\(A\)は完備であるので\(\lim_{k\rightarrow\infty}x_{k}=x\in A\)となる。
これより、\(A^{a}\subseteq A\)となり一般的に\(A\subseteq A^{a}\)であるので\(A=A^{a}\)となる。
従って\(\Rightarrow\)が成り立つ。
\(\Leftarrow\)
\(A\)の任意のコーシー列\(\left(x_{k}\right)_{k\in\mathbb{N}}\subseteq A\)について、\(X\)の完備性より\(x:=\lim_{k\rightarrow\infty}x_{k}\)の値が存在する。このとき、\(x=\lim_{k\rightarrow\infty}x_{k}\in A^{a}\)となり、条件より\(A\)は閉集合なので\(A^{a}=A\)より、\(x=\lim_{k\rightarrow\infty}x_{k}\in A^{a}=A\)となる。
従って、\(A\)の任意のコーシー列は\(A\)の元に収束するので\(A\)は完備となる。
故に\(\Leftarrow\)が成り立つ
\(\Leftrightarrow\)
これらより、\(\Rightarrow\)と\(\Leftarrow\)が成り立つので\(\Leftrightarrow\)が成り立つ。ページ情報
タイトル | 距離空間での完備と閉集合の関係 |
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ルベーグの被覆補題
\[
\diam\left(A\right)<\delta\rightarrow A\subseteq U
\]
距離空間での開集合全体の集合
\[
\forall\mathcal{P}\subseteq\mathcal{O},\bigcup_{P\in\mathcal{P}}P\in\mathcal{O}
\]
有限集合で距離化可能なのは離散位相のみ
有限位相空間では距離化可能と離散位相は同値である。
距離空間では連続と点列連続は同値