色々な行列の定義
色々な行列の定義
\(n\)次正方行列は\(M_{n\times n}\left(K\right)\)を省略して\(M_{n}\left(K\right)\)で表したりします。
行列のサイズを記載するときは下付き添え字によって\(O_{n},O_{n,n},O_{m,n}\)のように表します。
\(n\)次正方行列のときは\(O_{n,n}\)の代わりに\(O_{n}\)で表したりする。
対角行列の対角成分が左上から\(a_{1},a_{2},\cdots,a_{n}\)のとき\(\mathrm{diag}\left(a_{1},a_{2},\cdots,a_{n}\right)\)のように表すこともある。
対角行列ならば対称行列であるが、逆は一般的に成り立たない。
対角行列ならば正規行列であるが、逆は一般的に成り立たない。
対角行列ならば上3角行列かつ下3角行列であるが、逆は一般的に成り立たない。
実対角行列ならばエルミート行列であるが、逆は一般的に成り立たない。
正方行列\(A=\left(a_{ij}\right)\)が\(i<j\rightarrow a_{ij}=0\)を満たすとき、\(A\)を下3角行列という。
上3角行列と下3角行列を合わせて3角行列という。
対角行列ならば上3角行列かつ下3角行列であるが、逆は一般的に成り立たない。
べき等行列は正規行列になります。
実対称行列ならばエルミート行列であるが、逆は一般的に成り立たない。
実対称行列ならば正規行列であるが、逆は一般的に成り立たない。
対角行列ならば対称行列であるが、逆は一般的に成り立たない。
実反対称行列ならば反エルミート行列であるが、逆は一般的に成り立たない。
実反対称行列ならば正規行列であるが、逆は一般的に成り立たない。
行ベクトルと列ベクトルを合わせて数ベクトルという。
数ベクトルの成分が全て0のとき零ベクトルという。
\(\overline{A^{T}}=\overline{A}^{T}\)なので複素共役をとって転置をとっても同じである。
エルミート行列ならば正規行列であるが、逆は一般的に成り立たない。
実対称行列ならばエルミート行列であるが、逆は一般的に成り立たない。
実対角行列ならばエルミート行列であるが、逆は一般的に成り立たない。
実反対称行列ならば反エルミート行列であるが、逆は一般的に成り立たない。
反エルミート行列ならば正規行列であるが、逆は一般的に成り立たない。
\(U\)がユニタリ行列であることと\(U^{*}=U^{-1}\)であることは同値です。
ユニタリ行列ならば正規行列であるが、逆は一般的に成り立たない。
実直交行列ならばユニタリ行列であるが、逆は一般的に成り立たない。
\(A\)が直交行列であることと\(A^{T}=A^{-1}\)であることは同値です。
実直交行列ならばユニタリ行列であるが、逆は一般的に成り立たない。
実直交行列ならば正規行列であるが、逆は一般的に成り立たない。
正規行列であることと、\(A,A^{*}\)が可換であることは同値です。
対角行列またはエルミート行列または反エルミート行列またはユニタリ行列または実対称行列または実反対称行列または実直交行列ならば正規行列になるが、逆は一般的に成り立たない。
(1)正方行列
行列のサイズが縦横同じ個数の行列を正方行列といい、\(n\times n\)行列を\(n\)次正方行列という。\(n\)次正方行列は\(M_{n\times n}\left(K\right)\)を省略して\(M_{n}\left(K\right)\)で表したりします。
(2)零行列
行列の成分が全て0の行列、すなわち\(\left(O\right)_{i,j}=0\)を零行列といい、\(O\)や0で表します。行列のサイズを記載するときは下付き添え字によって\(O_{n},O_{n,n},O_{m,n}\)のように表します。
\(n\)次正方行列のときは\(O_{n,n}\)の代わりに\(O_{n}\)で表したりする。
(3)単位行列
\(n\)次正方行列で成分が\(\left(I\right)_{i,j}=\delta_{i,j}\)となる行列を単位行列といい、\(I_{n}\)や\(E_{n}\)、またサイズを省略して\(I\)や\(E\)で表す。(4)対角行列
正方行列\(A=\left(a_{ij}\right)\)が\(i\ne j\rightarrow a_{ij}=0\)を満たすとき、\(A\)を対角行列という。対角行列の対角成分が左上から\(a_{1},a_{2},\cdots,a_{n}\)のとき\(\mathrm{diag}\left(a_{1},a_{2},\cdots,a_{n}\right)\)のように表すこともある。
対角行列ならば対称行列であるが、逆は一般的に成り立たない。
対角行列ならば正規行列であるが、逆は一般的に成り立たない。
対角行列ならば上3角行列かつ下3角行列であるが、逆は一般的に成り立たない。
実対角行列ならばエルミート行列であるが、逆は一般的に成り立たない。
(5)スカラー行列
\(n\)次正方行列\(A=\left(a_{ij}\right)\)が\(i\ne j\rightarrow a_{ij}=0\)かつ\(a_{11}=a_{22}=\cdots=a_{nn}\)を満たすとき、\(A\)をスカラー行列という。(6)3角行列・上3角行列・下3角行列
正方行列\(A=\left(a_{ij}\right)\)が\(j<i\rightarrow a_{ij}=0\)を満たすとき、\(A\)を上3角行列という。正方行列\(A=\left(a_{ij}\right)\)が\(i<j\rightarrow a_{ij}=0\)を満たすとき、\(A\)を下3角行列という。
上3角行列と下3角行列を合わせて3角行列という。
対角行列ならば上3角行列かつ下3角行列であるが、逆は一般的に成り立たない。
(7)べき零行列
\(n\)次正方行列\(N\)があり、ある自然数\(m\in\mathbb{N}\)に対し、\(N^{m}=O\)となるとき\(N\)をべき零行列という。(8)べき等行列
\(n\)次正方行列\(A\)があり、\(A^{2}=A\)を満たすとき\(A\)をべき等行列という。べき等行列は正規行列になります。
(9)転置行列
\(m\times n\)行列\(A=\left(a_{ij}\right)\)があるとき、行と列を入れ替えた\(n\times m\)行列を転置行列といい\(A^{t},A^{T}\)などで表す。(10)複素共役行列
行列\(A\)の成分全てについて複素共役をとった行列を複素共役行列といい、\(\overline{A}\)で表す。(11)対称行列
正方行列\(S\)が、\(S=S^{T}\)となるとき、\(S\)を対称行列という。実対称行列ならばエルミート行列であるが、逆は一般的に成り立たない。
実対称行列ならば正規行列であるが、逆は一般的に成り立たない。
対角行列ならば対称行列であるが、逆は一般的に成り立たない。
(12)反対称行列(交代行列)
正方行列\(T\)が、\(T=-T^{T}\)となるとき、\(T\)を反対称行列または交代行列という。実反対称行列ならば反エルミート行列であるが、逆は一般的に成り立たない。
実反対称行列ならば正規行列であるが、逆は一般的に成り立たない。
(13)行ベクトル・列ベクトル・数ベクトル・零ベクトル
\(1\times n\)行列を\(n\)次行ベクトルといい、\(m\times1\)行列を\(m\)次列ベクトルという。行ベクトルと列ベクトルを合わせて数ベクトルという。
数ベクトルの成分が全て0のとき零ベクトルという。
(14)エルミート転置(随伴行列)
\(m\times n\)複素行列\(A=\left(a_{ij}\right)\)があるとき、転置をとり複素共役をとった行列\(\overline{A^{T}}\)をエルミート転置といい、\(A^{*},A^{H},A^{\dagger}\)で表す。\(\overline{A^{T}}=\overline{A}^{T}\)なので複素共役をとって転置をとっても同じである。
(15)エルミート行列
\(n\)次複素正方行列\(A\)が\(A^{*}=A\)を満たすとき\(A\)をエルミート行列という。エルミート行列ならば正規行列であるが、逆は一般的に成り立たない。
実対称行列ならばエルミート行列であるが、逆は一般的に成り立たない。
実対角行列ならばエルミート行列であるが、逆は一般的に成り立たない。
(16)反エルミート行列
\(n\)次複素正方行列\(A\)が\(A^{*}=-A\)を満たすとき\(A\)を反エルミート行列という。実反対称行列ならば反エルミート行列であるが、逆は一般的に成り立たない。
反エルミート行列ならば正規行列であるが、逆は一般的に成り立たない。
(17)ユニタリ行列
複素正方行列\(U\)が\(UU^{*}=U^{*}U=I\)を満たすとき\(U\)をユニタリ行列という。\(U\)がユニタリ行列であることと\(U^{*}=U^{-1}\)であることは同値です。
ユニタリ行列ならば正規行列であるが、逆は一般的に成り立たない。
実直交行列ならばユニタリ行列であるが、逆は一般的に成り立たない。
(18)直交行列
正方行列\(A\)が\(AA^{T}=A^{T}A=I\)を満たすとき\(A\)を直交行列という。\(A\)が直交行列であることと\(A^{T}=A^{-1}\)であることは同値です。
実直交行列ならばユニタリ行列であるが、逆は一般的に成り立たない。
実直交行列ならば正規行列であるが、逆は一般的に成り立たない。
(19)正規行列
複素正方行列\(A\)が\(AA^{*}=A^{*}A\)を満たすとき\(A\)を正規行列という。正規行列であることと、\(A,A^{*}\)が可換であることは同値です。
対角行列またはエルミート行列または反エルミート行列またはユニタリ行列または実対称行列または実反対称行列または実直交行列ならば正規行列になるが、逆は一般的に成り立たない。
(20)正則行列
正方行列\(A\)が逆行列\(A^{-1}\)をもつとき、\(A\)を正則行列という。(1)正方行列
次の行列は正方行列である。\[ \left(1\right),\left(\begin{array}{cc} 1 & 2\\ 3 & 4 \end{array}\right),\left(\begin{array}{ccc} 1 & 2 & 3\\ 4 & 5 & 6\\ 7 & 8 & 9 \end{array}\right) \]
(2)零行列
次の行列は零行列である。\[ \left(0\right),\left(\begin{array}{c} 0\\ 0 \end{array}\right),\left(\begin{array}{cc} 0 & 0\end{array}\right),\left(\begin{array}{cc} 0 & 0\\ 0 & 0 \end{array}\right) \]
(3)単位行列
次の行列は単位行列である。\[ \left(1\right),\left(\begin{array}{cc} 1 & 0\\ 0 & 1 \end{array}\right) \]
(4)対角行列
次の行列は対角行列である。\[ \left(2\right),\left(\begin{array}{cc} 1 & 0\\ 0 & 2 \end{array}\right) \]
(5)スカラー行列
次の行列はスカラー行列である。\[ \left(2\right),\left(\begin{array}{cc} 3 & 0\\ 0 & 3 \end{array}\right) \]
(6)3角行列・上3角行列・下3角行列
次の行列は上3角行列である。\[ \left(1\right),\left(\begin{array}{cc} 1 & 2\\ 0 & 3 \end{array}\right) \] 次の行列は下3角行列である。
\[ \left(1\right),\left(\begin{array}{cc} 1 & 0\\ 2 & 3 \end{array}\right) \]
(7)べき零行列
次の行列はべき零行列である。\[ \left(\begin{array}{cc} 0 & 0\\ 0 & 0 \end{array}\right),\left(\begin{array}{cc} 0 & 1\\ 1 & 0 \end{array}\right),\left(\begin{array}{ccc} 0 & 1 & 1\\ 0 & 0 & 1\\ 0 & 0 & 0 \end{array}\right) \]
(8)べき等行列
次の行列はべき零行列である。\[ I,\left(\begin{array}{cc} 1 & c\\ 0 & 0 \end{array}\right),\left(\begin{array}{cc} 2 & c\\ -\frac{2}{c} & -1 \end{array}\right),\left(\begin{array}{cc} 3 & c\\ -\frac{6}{c} & -2 \end{array}\right),\left(\begin{array}{cc} -1 & c\\ -\frac{2}{c} & 2 \end{array}\right),\left(\begin{array}{cc} -2 & c\\ -\frac{6}{c} & 3 \end{array}\right),\left(\begin{array}{cc} a & c\\ -\frac{a\left(a-1\right)}{c} & 1-a \end{array}\right) \] \[ \left(\begin{array}{ccc} 1 & 0 & 0\\ 0 & 1 & 0\\ 0 & 0 & 0 \end{array}\right),\left(\begin{array}{ccc} 1 & 2 & 3\\ -3 & -6 & -9\\ 2 & 4 & 6 \end{array}\right),\left(\begin{array}{ccc} 1 & 2 & 1\\ -1 & -2 & -1\\ 2 & 4 & 2 \end{array}\right) \]
(9)転置行列
転置行列の例\[ \left(\begin{array}{cc} 1 & 2\\ 3 & 4 \end{array}\right)^{T}=\left(\begin{array}{cc} 1 & 3\\ 2 & 4 \end{array}\right) \] \[ \left(\begin{array}{c} 1\\ 2 \end{array}\right)^{T}=\left(\begin{array}{cc} 1 & 2\end{array}\right) \]
(10)複素共役行列
複素共役行列の例\[ \overline{\left(\begin{array}{cc} 1+i & 2-2i\\ 3+2i & 4-i \end{array}\right)}=\left(\begin{array}{cc} 1-i & 2+2i\\ 3-2i & 4+i \end{array}\right) \]
(11)対称行列
次の行列は対称行列である。\[ \left(2\right),\left(\begin{array}{cc} 1 & 2\\ 2 & 4 \end{array}\right),\left(\begin{array}{ccc} 1 & 2 & 3\\ 2 & 4 & 5\\ 3 & 5 & 6 \end{array}\right) \]
(12)反対称行列(交代行列)
次の行列は対称行列である。\[ \left(0\right),\left(\begin{array}{cc} 0 & 1\\ -1 & 0 \end{array}\right),\left(\begin{array}{ccc} 0 & 1 & 2\\ -1 & 0 & 3\\ -2 & -3 & 0 \end{array}\right) \]
(13)行ベクトル・列ベクトル・数ベクトル・零ベクトル
次の行列は行ベクトルである。\[ \left(1\right),\left(\begin{array}{cc} 1 & 2\end{array}\right),\left(\begin{array}{ccc} 1 & 2 & 3\end{array}\right) \] 次の行列は列ベクトルである。
\[ \left(1\right),\left(\begin{array}{c} 1\\ 2 \end{array}\right),\left(\begin{array}{c} 1\\ 2\\ 3 \end{array}\right) \]
(14)エルミート転置(随伴行列)
エルミート転置の例\[ \left(\begin{array}{c} 1+i\\ 2+i \end{array}\right)^{*}=\left(\begin{array}{cc} 1-i & 2-i\end{array}\right) \] \[ \left(\begin{array}{cc} 1+i & 2-i\\ 3+2i & 4+i \end{array}\right)^{*}=\left(\begin{array}{cc} 1-i & 3-2i\\ 2+i & 4-i \end{array}\right) \]
(15)エルミート行列
次の行列はエルミート行列である。\[ \left(1\right),\left(\begin{array}{cc} 1 & 2\\ 2 & 3 \end{array}\right),\left(\begin{array}{cc} 1 & 2-i\\ 2+i & 3 \end{array}\right) \] 正規行列であるがエルミート行列ではない例
\[ \left(\begin{array}{cc} 0 & 1\\ 0 & 0 \end{array}\right) \]
(16)反エルミート行列
次の行列は反エルミート行列である。\[ \left(0\right),\left(\begin{array}{cc} 0 & 1\\ -1 & 0 \end{array}\right),\left(\begin{array}{cc} i & 2+3i\\ -2+3i & 4i \end{array}\right) \]
(17)ユニタリ行列
次の行列はユニタリ行列である。\[ \left(\frac{1+i}{2}\right),\left(\begin{array}{cc} 1 & 0\\ 0 & 1 \end{array}\right) \] \[ \theta\in\mathbb{R},\left(\begin{array}{cc} \cos\theta & i\sin\theta\\ i\sin\theta & \cos\theta \end{array}\right) \] \[ \theta\in\mathbb{R},\left(\begin{array}{cc} \cos\theta & -\sin\theta\\ \sin\theta & \cos\theta \end{array}\right) \] 正規行列であるユニタリ行列ではない例
\[ \left(\begin{array}{cc} 0 & 1\\ 0 & 0 \end{array}\right) \]
(18)直交行列
次の行列は直交行列である。\[ \left(1\right),\left(\begin{array}{cc} 0 & 1\\ 1 & 0 \end{array}\right) \] \[ \theta\in\mathbb{R},\left(\begin{array}{cc} \cos\theta & -\sin\theta\\ \sin\theta & \cos\theta \end{array}\right) \]
(19)正規行列
次の行列は正規行列である。\[ \left(\begin{array}{cc} 1 & 2+3i\\ 2-3i & 4 \end{array}\right),\left(\begin{array}{cc} 0 & i\\ i & 0 \end{array}\right),\left(\begin{array}{cc} i & 0\\ 0 & i \end{array}\right) \] 正規行列であるがエルミート行列またはユニタリ行列でない例
\[ \left(\begin{array}{cc} 0 & 1\\ 0 & 0 \end{array}\right) \]
(20)正則行列
次の行列は逆行列をもつので正則行列である。\[ \left(\begin{array}{cc} 1 & 2\\ 3 & 4 \end{array}\right)^{-1}=-\frac{1}{2}\left(\begin{array}{cc} 4 & -2\\ -3 & 1 \end{array}\right) \]
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行列の性質
一般的に$AB=BA$は成り立たない。
行列の定義
\[
A=\left(a_{i,j}\right)
\]
行列の相似・同値と相似変換の定義
\[
B=P^{-1}AP
\]
行列の指数関数の定義
\[
\exp\left(A\right)=\sum_{k-0}^{\infty}\frac{A^{k}}{k!}
\]

