分離公理(T0・T1・T2・T3・T4・正則・正規)の定義

分離公理(T0・T1・T2・T3・T4・正則・正規)の定義
分離公理を以下で定義する。

(0)\(T_{0}\)空間(コルモゴロフ空間)

位相空間\(\left(X,\mathcal{O}\right)\)の任意の異なる2点\(x,y\in X\)に対し、ある開集合\(U\)が存在し、\(x\in U\land y\notin U\)または\(y\in U\land x\notin U\)となるとき\(T_{0}\)空間という。
1点のみの位相空間は\(T_{0}\)空間である。

(1)\(T_{1}\)空間(フレシェ空間)

位相空間\(\left(X,\mathcal{O}\right)\)の任意の異なる2点\(x,y\in X\)に対し、ある開集合\(U\)が存在し、\(x\in U\land y\notin U\)となるとき\(T_{1}\)空間という。
1点のみの位相空間は\(T_{1}\)空間である。

(2)\(T_{2}\)空間(ハウスドルフ空間)

位相空間\(\left(X,\mathcal{O}\right)\)の任意の異なる2点\(x,y\in X\)に対し、ある開集合\(U,V\)が存在し、\(x\in U,y\in V,U\cap V=\emptyset\)となるとき\(T_{2}\)空間という。
1点のみの位相空間は\(T_{2}\)空間である。

(3)\(T_{3}\)空間(ヴィエトリス空間)

位相空間\(\left(X,\mathcal{O}\right)\)の任意の点\(x\in X\)と任意の閉集合\(F\subseteq X\)に対し、ある開集合\(U,V\)が存在し、\(x\notin F\)ならば、\(x\in U,F\subseteq V,U\cap V=\emptyset\)を満たすとき\(T_{3}\)空間という。
\(F=\emptyset\)のときは\(U=X,V=\emptyset\)とすれば成り立つ。
1点のみの位相空間は\(T_{3}\)空間である。

(4)\(T_{4}\)空間(ティーツェ空間)

位相空間\(\left(X,\mathcal{O}\right)\)の任意の閉集合\(F_{1},F_{2}\subseteq X\)に対し、ある開集合\(U,V\)が存在し、\(F_{1}\cap F_{2}=\emptyset\)ならば、\(F_{1}\subseteq U,F_{2}\subseteq V,U\cap V=\emptyset\)を満たすとき\(T_{4}\)空間という。
\(F_{1}=\emptyset\)のときは\(U=\emptyset,V=X\)、\(F_{2}=\emptyset\)のときは\(U=X,V=\emptyset\)とすれば成り立つ。
1点のみの位相空間は\(T_{4}\)空間である。

(5)正則空間

\(T_{1}\)空間かつ\(T_{3}\)空間のとき、正則空間という。
1点のみの位相空間は正則空間である。

(6)正規空間

\(T_{1}\)空間かつ\(T_{4}\)空間のとき、正規空間という。
1点のみの位相空間は正規空間である。
離散位相\(\left(X,2^{X}\right)\)は\(T_{0}\)・\(T_{1}\)・\(T_{2}\)・\(T_{3}\)・\(T_{4}\)・正則空間・正規空間・距離空間である。
\(2\leq\left|X\right|\)のとき、密着位相\(\left(X,\left\{ \emptyset,X\right\} \right)\)は\(T_{3}\)・\(T_{4}\)空間であるが、\(T_{0}\)・\(T_{1}\)・\(T_{2}\)・正則空間・正規空間・距離空間ではない。
シェルピンスキー空間\(\left(\left\{ a,b\right\} ,\left\{ \emptyset,\left\{ a\right\} ,\left\{ a,b\right\} \right\} \right)\)は\(T_{0}\)・\(T_{4}\)空間であるが、\(T_{1}\)・\(T_{2}\)・\(T_{3}\)・正則空間・正規空間・距離空間ではない。

ページ情報
タイトル
分離公理(T0・T1・T2・T3・T4・正則・正規)の定義
URL
https://www.nomuramath.com/p64ul2wc/
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