上限位相空間・下限位相空間の第1可算公理・第2可算公理
上限位相空間・下限位相空間の第1可算公理・第2可算公理
上限位相空間\(\left(\mathbb{R},\mathcal{O}_{u}\right)\)と下限位相空間\(\left(\mathbb{R},\mathcal{O}_{l}\right)\)は次を満たす。
上限位相空間\(\left(\mathbb{R},\mathcal{O}_{u}\right)\)と下限位相空間\(\left(\mathbb{R},\mathcal{O}_{l}\right)\)は次を満たす。
(1)
第1可算公理を満たす。(2)
第2可算公理を満たさない。上限位相空間のみ示す。
下限位相空間も同様である。
\(\left(\mathbb{R},\mathcal{O}_{u}\right)\)が第2可算公理を満たすと仮定する。
そうすると、可算個の開基\(\mathcal{B}\)がとれる。
このとき、ある開基の元\(A_{x}\in\mathcal{B}\)が存在し、\(\left(x-1,x\right]\)は上限位相での開集合なので\(x\in A_{x}\subseteq\left(x-1,x\right]\)を満たす。
ここで\(\mathcal{A}:=\left\{ A_{x};x\in\mathbb{R}\setminus\mathbb{Q}\right\} \subseteq\mathcal{B}\)とおいて、無理数\(\mathbb{R}\setminus\mathbb{Q}\)と\(\mathcal{A}\)の濃度を比較する。
写像\(f:\mathbb{R}\setminus\mathbb{Q}\rightarrow\mathcal{A},x\mapsto A_{x}\)が単射でないと仮定する。
そうすると、ある\(a,b\in\mathbb{R}\setminus\mathbb{Q}\)が存在し\(\lnot\left(A_{a}=A_{b}\rightarrow a=b\right)\Leftrightarrow A_{a}=A_{b}\land a\ne b\)を満たす。
このとき、\(a<b\)としても一般性を失わなく、\(b\notin\left(a-1,a\right]=A_{a}\)となるが、\(b\in A_{b}=A_{a}\)なので矛盾。
従って仮定が間違いで写像\(f\)は単射となるので、\(\left|\mathbb{R}\setminus\mathbb{Q}\right|\leq\left|\mathcal{A}\right|\leq\)\(\left|\mathcal{B}\right|\)となるが無理数\(\mathbb{R}\setminus\mathbb{Q}\)の濃度は非可算なので、開基\(\mathcal{B}\)の濃度も非可算となり矛盾。
故に背理法より\(\left(\mathbb{R},\mathcal{O}_{u}\right)\)は第2可算公理を満たさない。
可算個の\(b_{1},b_{2},\cdots\)のどれにも一致しない実数は存在するのでそれを1つ適当に選び\(b\)とすると\(\left(b-1,b\right]\)は開集合である。
ここで\(\left(a_{n},b_{n}\right]\subseteq\left(b-1,b\right]\)を満たす開基の全ての和集合をとったものを\(A\)とすると、\(A=\left(b-1,b\right]\)となる。
しかし、このような開基は\(b-1\leq a_{n}<b_{n}\leq b\)であり、\(b_{n}\ne b\)より\(b_{n}<b\)となるので、\(b\notin A\)となり矛盾。
従って、背理法より可算個の左半開区間\(\left(a_{1},b_{1}\right],\left(a_{2},b_{2}\right],\cdots\)は開基とならない。
ここで、上限位相の開基は\(\mathcal{B}_{u}=\left\{ \left(a,b\right];a,b\in\mathbb{R},a<b\right\} \)であり、第2可算公理を満たすならば任意の開基の元から可算個を選んで可算開基を作ることができる。
しかし、上限位相では可算個を選んでも可算開基を作ることができない。
故に第2可算公理を満たさない。
下限位相空間も同様である。
(1)
任意の\(x\in\mathbb{R}\)に対し、\(\mathcal{B}_{x}=\left\{ \left(x-\frac{1}{n},x\right];n\in\mathbb{N}\right\} \)は基本近傍系となり\(\left|\mathcal{B}_{x}\right|\leq\aleph_{0}\)を満たすので第1可算公理を満たす。(2)
背理法により示す。\(\left(\mathbb{R},\mathcal{O}_{u}\right)\)が第2可算公理を満たすと仮定する。
そうすると、可算個の開基\(\mathcal{B}\)がとれる。
このとき、ある開基の元\(A_{x}\in\mathcal{B}\)が存在し、\(\left(x-1,x\right]\)は上限位相での開集合なので\(x\in A_{x}\subseteq\left(x-1,x\right]\)を満たす。
ここで\(\mathcal{A}:=\left\{ A_{x};x\in\mathbb{R}\setminus\mathbb{Q}\right\} \subseteq\mathcal{B}\)とおいて、無理数\(\mathbb{R}\setminus\mathbb{Q}\)と\(\mathcal{A}\)の濃度を比較する。
写像\(f:\mathbb{R}\setminus\mathbb{Q}\rightarrow\mathcal{A},x\mapsto A_{x}\)が単射でないと仮定する。
そうすると、ある\(a,b\in\mathbb{R}\setminus\mathbb{Q}\)が存在し\(\lnot\left(A_{a}=A_{b}\rightarrow a=b\right)\Leftrightarrow A_{a}=A_{b}\land a\ne b\)を満たす。
このとき、\(a<b\)としても一般性を失わなく、\(b\notin\left(a-1,a\right]=A_{a}\)となるが、\(b\in A_{b}=A_{a}\)なので矛盾。
従って仮定が間違いで写像\(f\)は単射となるので、\(\left|\mathbb{R}\setminus\mathbb{Q}\right|\leq\left|\mathcal{A}\right|\leq\)\(\left|\mathcal{B}\right|\)となるが無理数\(\mathbb{R}\setminus\mathbb{Q}\)の濃度は非可算なので、開基\(\mathcal{B}\)の濃度も非可算となり矛盾。
故に背理法より\(\left(\mathbb{R},\mathcal{O}_{u}\right)\)は第2可算公理を満たさない。
(2)-2
可算個の左半開区間\(\left(a_{1},b_{1}\right],\left(a_{2},b_{2}\right],\cdots\)が開基となると仮定する。可算個の\(b_{1},b_{2},\cdots\)のどれにも一致しない実数は存在するのでそれを1つ適当に選び\(b\)とすると\(\left(b-1,b\right]\)は開集合である。
ここで\(\left(a_{n},b_{n}\right]\subseteq\left(b-1,b\right]\)を満たす開基の全ての和集合をとったものを\(A\)とすると、\(A=\left(b-1,b\right]\)となる。
しかし、このような開基は\(b-1\leq a_{n}<b_{n}\leq b\)であり、\(b_{n}\ne b\)より\(b_{n}<b\)となるので、\(b\notin A\)となり矛盾。
従って、背理法より可算個の左半開区間\(\left(a_{1},b_{1}\right],\left(a_{2},b_{2}\right],\cdots\)は開基とならない。
ここで、上限位相の開基は\(\mathcal{B}_{u}=\left\{ \left(a,b\right];a,b\in\mathbb{R},a<b\right\} \)であり、第2可算公理を満たすならば任意の開基の元から可算個を選んで可算開基を作ることができる。
しかし、上限位相では可算個を選んでも可算開基を作ることができない。
故に第2可算公理を満たさない。
ページ情報
タイトル | 上限位相空間・下限位相空間の第1可算公理・第2可算公理 |
URL | https://www.nomuramath.com/khwgbc85/ |
SNSボタン |
上限位相空間・下限位相空間は非連結
上限位相と下限位相より強ければ離散位相
上限位相空間・下限位相空間は距離化不可能
上限位相空間・下限位相空間はコンパクトでない