2つの距離関数と点列・開集合・閉集合の関係
2つの距離関数と点列・開集合・閉集合の関係
集合\(X\)と距離\(d,d'\)があるとき次の(a),(b),(c)は同値である。
集合\(X\)と距離\(d,d'\)があるとき次の(a),(b),(c)は同値である。
(a)
任意の元\(a\in X\)と任意の点列\(\left(a_{n}\right)_{n\in\mathbb{N}}\subseteq X\)に対し、\(\left(a_{n}\right)_{n\in\mathbb{N}}\)が\(d\)に関して\(a\)に収束するならば、\(\left(a_{n}\right)_{n\in\mathbb{N}}\)は\(d'\)に関して\(a\)に収束する(b)
\(d'\)に関する閉集合ならば、\(d\)に関する閉集合となる。(c)
\(d'\)に関する開集合ならば、\(d\)に関する開集合となる。\(X=\emptyset\)のとき明らかに成り立つので\(X\ne\emptyset\)とする。
(a)より、\(A\)から任意の点列\(\left(a_{n}\right)_{n\in\mathbb{N}}\subseteq A\)をとると、\(\left(a_{n}\right)_{n\in\mathbb{N}}\)が\(d\)に関して\(a\)に収束するならば、\(d'\)に関して\(a\)に収束する。
また条件より、\(A\)は\(d'\)に関する閉集合なので任意の点列\(\left(a_{n}\right)_{n\in\mathbb{N}}\subseteq A\)に対し、\(d'\)での収束先は\(a\in A\)となる。
従って任意の点列\(\left(a_{n}\right)_{n\in\mathbb{N}}\subseteq A\)に対し、\(d\)での収束先は\(a\in A\)となるので、\(A\)は\(d\)に関する閉集合となる。
故に(a)\(\Rightarrow\)(b)は成り立つ。
\(O^{c}\)は\(d'\)に関する閉集合なので、(b)より、\(O^{c}\)は\(d\)に関する閉集合となる。
\(O^{c}\)は\(d\)に関する閉集合なので\(O\)は\(d\)に関する開集合となる。
従って(b)\(\Rightarrow\)(c)は成り立つ。
また\(\epsilon>0\)として、\(d'\)での\(a\)の\(\epsilon\)近傍を\(B'\left(a,\epsilon\right)\)とする。
\(B'\left(a,\epsilon\right)\)は\(d'\)での開集合なので、(c)より\(d\)でも開集合となるので、ある\(\delta>0\)が存在し、\(B\left(a,\delta\right)\subseteq B'\left(a,\epsilon\right)\)となる。
また、\(\left(a_{n}\right)_{n\in\mathbb{N}}\)は\(d\)に関して\(a\)に収束するので、ある\(N\in\mathbb{N}\)が存在し、\(N\leq n\rightarrow a_{n}\in B\left(a,\delta\right)\)となるので、\(N\leq n\rightarrow a_{n}\in B\left(a,\delta\right)\subseteq B'\left(a,\epsilon\right)\)となる。
従って\(\left(a_{n}\right)_{n\in\mathbb{N}}\)は\(d'\)に関して\(a\)に収束する。
故に(c)\(\Rightarrow\)(a)は成り立つ。
(a)\(\Rightarrow\)(b)
\(A\)を\(d'\)に関する閉集合とする。(a)より、\(A\)から任意の点列\(\left(a_{n}\right)_{n\in\mathbb{N}}\subseteq A\)をとると、\(\left(a_{n}\right)_{n\in\mathbb{N}}\)が\(d\)に関して\(a\)に収束するならば、\(d'\)に関して\(a\)に収束する。
また条件より、\(A\)は\(d'\)に関する閉集合なので任意の点列\(\left(a_{n}\right)_{n\in\mathbb{N}}\subseteq A\)に対し、\(d'\)での収束先は\(a\in A\)となる。
従って任意の点列\(\left(a_{n}\right)_{n\in\mathbb{N}}\subseteq A\)に対し、\(d\)での収束先は\(a\in A\)となるので、\(A\)は\(d\)に関する閉集合となる。
故に(a)\(\Rightarrow\)(b)は成り立つ。
(b)\(\Rightarrow\)(c)
\(O\subseteq X\)を\(d'\)に関する開集合とすると\(O^{c}\)は\(d'\)に関する閉集合となる。\(O^{c}\)は\(d'\)に関する閉集合なので、(b)より、\(O^{c}\)は\(d\)に関する閉集合となる。
\(O^{c}\)は\(d\)に関する閉集合なので\(O\)は\(d\)に関する開集合となる。
従って(b)\(\Rightarrow\)(c)は成り立つ。
(c)\(\Rightarrow\)(a)
点列\(\left(a_{n}\right)_{n\in\mathbb{N}}\subseteq X\)は\(d\)に関して\(a\in X\)に収束するとする。また\(\epsilon>0\)として、\(d'\)での\(a\)の\(\epsilon\)近傍を\(B'\left(a,\epsilon\right)\)とする。
\(B'\left(a,\epsilon\right)\)は\(d'\)での開集合なので、(c)より\(d\)でも開集合となるので、ある\(\delta>0\)が存在し、\(B\left(a,\delta\right)\subseteq B'\left(a,\epsilon\right)\)となる。
また、\(\left(a_{n}\right)_{n\in\mathbb{N}}\)は\(d\)に関して\(a\)に収束するので、ある\(N\in\mathbb{N}\)が存在し、\(N\leq n\rightarrow a_{n}\in B\left(a,\delta\right)\)となるので、\(N\leq n\rightarrow a_{n}\in B\left(a,\delta\right)\subseteq B'\left(a,\epsilon\right)\)となる。
従って\(\left(a_{n}\right)_{n\in\mathbb{N}}\)は\(d'\)に関して\(a\)に収束する。
故に(c)\(\Rightarrow\)(a)は成り立つ。
(a)\(\Leftrightarrow\)(b)\(\Leftrightarrow\)(c)
これらより、(a)\(\Rightarrow\)(b)\(\Rightarrow\)(c)\(\Rightarrow\)(a)となるので(a)\(\Leftrightarrow\)(b)\(\Leftrightarrow\)(c)が成り立つ。ページ情報
タイトル | 2つの距離関数と点列・開集合・閉集合の関係 |
URL | https://www.nomuramath.com/givs39m7/ |
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離散距離は距離空間
\[
d_{0}\left(\boldsymbol{x},\boldsymbol{y}\right)=\begin{cases}
0 & \boldsymbol{x}=\boldsymbol{y}\\
1 & \boldsymbol{x}\ne\boldsymbol{y}
\end{cases}
\]
距離空間ならば正規空間
収束列と閉集合・閉包・稠密との関係
閉集合であることと、収束列の収束先がその集合に入ることは同値である。
距離空間の定義
\[
d\left(x,y\right)\leq d\left(x,z\right)+d\left(z,y\right)
\]