有向集合と有向点列の定義

有向集合と有向点列の定義

(1)有向集合

空でない集合\(\Lambda\)の前順序集合(反射律・推移律)\(\left(\Lambda,\preceq\right)\)が
\[ \forall a,b\in\Lambda,\exists c\in\Lambda,a\preceq c\land b\preceq c \] を満たすとき、\(\left(\Lambda,\preceq\right)\)を有向集合という。
すなわち前順序集合で任意の2元が上界を持つとき有向集合となる。

(2)有向点列

有向集合\(\Lambda\)(可算または非可算)の元で添え字付けられた点列を\(\left(X_{\lambda}\right)_{\lambda\in\Lambda}\)などで表し有向点列という。
有向点列のことをネットや有向点族ともいう。

(1)

空でない全順序集合は有向集合となるが、空でない前順序集合が有向集合になるとは限らない。

(2)

有向点列は点列を一般化したもので可算性と全順序があるとは限らない。
点列は全順序集合という自然数の元で添え字付けられたものである。

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自然数全体の集合\(\mathbb{N}\)に通常の大小関係による順序\(\leq\)を入れた\(\left(\mathbb{N},\leq\right)\)は有向集合となる。
これは全順序集合でもある。

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順序対\(\left(a_{1},a_{2}\right),\left(b_{1},b_{2}\right)\in\mathbb{R}^{2}\)に順序\(\preceq\)を\(\left(a_{1},a_{2}\right)\preceq\left(b_{1},b_{2}\right)\Leftrightarrow a_{1}\leq b_{1}\land a_{2}\leq b_{2}\)で定めると、有向集合となる。
何故なら任意の\(\left(a_{1},a_{2}\right),\left(b_{1},b_{2}\right)\in\mathbb{R}^{2}\)に対し、\(\left(\max\left(a_{1},b_{1}\right),\max\left(a_{2},b_{2}\right)\right)\in\mathbb{R}^{2}\)が存在し、\(\left(a_{1},a_{2}\right)\preceq\left(\max\left(a_{1},b_{1}\right),\max\left(a_{2},b_{2}\right)\right)\land\left(b_{1},b_{2}\right)\preceq\left(\max\left(a_{1},b_{1}\right),\max\left(a_{2},b_{2}\right)\right)\)が成り立っているからである。
また、これは前順序集合ではあるが全順序集合ではない。

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順序対\(\left(a_{1},a_{2}\right),\left(b_{1},b_{2}\right)\in\mathbb{R}^{2}\)に順序\(\preceq\)を\(\left(a_{1},a_{2}\right)\preceq\left(b_{1},b_{2}\right)\Leftrightarrow\left|a_{1}\right|\leq\left|b_{1}\right|\land\left|a_{2}\right|\leq\left|b_{2}\right|\)で定めると、有向集合となる。
これは前順序集合ではあるが全順序集合ではない。

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ある実数\(c\)に対し集合\(\mathbb{R}\setminus\left\{ c\right\} \)に順序\(\preceq\)を\(a\preceq b\Leftrightarrow\left|a-c\right|\geq\left|b-c\right|\)で定めると、有向集合となる
これは前順序集合ではあるが半順序集合でないので全順序集合でもない。

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有向集合と有向点列の定義
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