エルミート行列の性質
エルミート行列の性質
エルミート行列\(H\)について次が成り立つ。
逆は一般的に成り立たない。
逆は一般的に成り立たない。
エルミート行列\(H\)について次が成り立つ。
(1)転置
エルミート行列\(H\)の転置\(H^{T}\)は元の行列の複素共役\(\overline{H}\)に等しい、すなわち、\(H^{T}=\overline{H}\)となる。(2)逆行列
エルミート行列\(H\)の逆行列\(H^{-1}\)はエルミート行列になる。(3)対角成分
エルミート行列\(H\)の対角成分の虚部は0である。(4)対角化
エルミート行列\(H\)ならば、ユニタリ行列によって対角化が可能である。逆は一般的に成り立たない。
(5)和
エルミート行列同士の和はエルミート行列になる。(6)
エルミート行列\(A\)があるとき\(iA\)は反エルミート行列になる。(7)
正方行列\(A\)があるとき\(A+A^{*},AA^{*}\)はエルミート行列となる。(8)
エルミート行列\(H\)があるとき、\(e^{iH}\)はユニタリ行列になる。(9)
エルミート行列ならば正規行列である。逆は一般的に成り立たない。
(10)
\(n\)次エルミート行列の独立な成分は\(\frac{n\left(n+1\right)}{2}\)個である。その他次が成り立つ。
ここで\(\left\langle \boldsymbol{x},\boldsymbol{y}\right\rangle \)は標準エルミート内積である。
エルミート行列\(H\)があり、半正定値行列であることと、\(H\)の全ての固有値\(\lambda_{k}\)が非負実数\(0\leq\lambda_{k}\)であることは同値である。
エルミート行列\(H\)があり、負定値行列であることと、\(H\)の全ての固有値\(\lambda_{k}\)が負実数\(\lambda_{k}<0\)であることは同値である。
エルミート行列\(H\)があり、半負定値行列であることと、\(H\)の全ての固有値\(\lambda_{k}\)が非正実数\(\lambda_{k}\leq0\)であることは同値である。
エルミート行列\(H\)があり、不定値であることと、\(H\)が負の固有値をもつかつ正の固有値をもつことは同値である。
(1)行列式
エルミート行列の行列式は実数である。(2)固有値
エルミート行列の固有値は全て実数である。(3)トレース
エルミート行列のトレースは実数となる。(4)
任意のユニタリ行列\(U\)に対し、あるエルミート行列\(H\)が存在して、\(U=e^{iH}\)となる。(5)標準エルミート内積
体\(K\)上で\(\boldsymbol{x},\boldsymbol{y}\in K^{n}\)として標準エルミート内積について\(\left\langle H\boldsymbol{x},\boldsymbol{y}\right\rangle =\left\langle \boldsymbol{x},H\boldsymbol{y}\right\rangle \)が成り立つ。(6)
体\(K\)上で\(H\)がエルミート行列であることと、任意の\(\boldsymbol{x}\in K^{n}\)について、\(\left\langle H\boldsymbol{x},\boldsymbol{x}\right\rangle \in\mathbb{R}\)となることは同値である。ここで\(\left\langle \boldsymbol{x},\boldsymbol{y}\right\rangle \)は標準エルミート内積である。
(7)
実対称行列ならばエルミート行列であるが、逆は一般的に成り立たない。(8)
エルミート行列\(H\)があり、正定値行列であることと、\(H\)の全ての固有値\(\lambda_{k}\)が正実数\(0<\lambda_{k}\)であることは同値である。エルミート行列\(H\)があり、半正定値行列であることと、\(H\)の全ての固有値\(\lambda_{k}\)が非負実数\(0\leq\lambda_{k}\)であることは同値である。
エルミート行列\(H\)があり、負定値行列であることと、\(H\)の全ての固有値\(\lambda_{k}\)が負実数\(\lambda_{k}<0\)であることは同値である。
エルミート行列\(H\)があり、半負定値行列であることと、\(H\)の全ての固有値\(\lambda_{k}\)が非正実数\(\lambda_{k}\leq0\)であることは同値である。
エルミート行列\(H\)があり、不定値であることと、\(H\)が負の固有値をもつかつ正の固有値をもつことは同値である。
(1)
\begin{align*} \left(H^{T}\right)_{i,j} & =\left(H\right)_{j,i}\\ & =\left(H^{*}\right)_{j,i}\\ & =\left(\overline{H^{T}}\right)_{j,i}\\ & =\left(\overline{H}\right)_{i,j} \end{align*} となるので、\(H^{T}=\overline{H}\)となる。従って題意は成り立つ。
(2)
\begin{align*} \left(H^{-1}\right)^{*} & =\overline{\left(H^{-1}\right)}^{T}\\ & =\left(\overline{H}^{-1}\right)^{T}\\ & =\left(\overline{H}^{T}\right)^{-1}\\ & =\left(H^{*}\right)^{-1}\\ & =H^{-1} \end{align*} となるので、エルミート行列の逆行列はエルミート行列になる。従って題意は成り立つ。
(3)
\begin{align*} \Im\left(\left(H\right)_{i,i}\right) & =\frac{1}{2}\left(\left(H\right)_{i,i}-\overline{\left(H\right)_{i,i}}\right)\\ & =\frac{1}{2}\left(\left(H\right)_{i,i}-\left(\overline{H}\right)_{i,i}\right)\\ & =\frac{1}{2}\left(\left(H\right)_{i,i}-\left(\overline{H^{*}}\right)_{i,i}\right)\\ & =\frac{1}{2}\left(\left(H\right)_{i,i}-\left(H^{T}\right)_{i,i}\right)\\ & =\frac{1}{2}\left(\left(H\right)_{i,i}-\left(H\right)_{i,i}\right)\\ & =0 \end{align*} となるので題意は成り立つ。(4)
\(\Rightarrow\)
エルミート行列は正規行列であるのでユニタリ行列によって対角化が可能である。逆は一般的に成り立たない
反例で示す。\(A=iI\)とおくと、\(A\)は既に対角化がされているので対角化が可能であるが、\(A\)はエルミート行列ではない。
従って、逆は一般的に成り立たない。
(5)
\(n\)次エルミート行列を\(H_{1},H_{2}\)とすると、エルミート行列同士の和は\(\left(H_{1}+H_{2}\right)^{*}=H_{1}^{*}+H_{2}^{*}=H_{1}+H_{2}\)となるのでエルミート行列になる。従って題意は成り立つ
(6)
\begin{align*} \left(iH\right)^{*} & =-iH^{*}\\ & =-iH\\ & =-\left(iH\right) \end{align*} となるので、\(iH\)は反エルミート行列となる。(7)
\begin{align*} \left(A+A^{*}\right)^{*} & =A^{*}+A^{**}\\ & =A^{*}+A \end{align*} \begin{align*} \left(AA^{*}\right)^{*} & =A^{**}A^{*}\\ & =AA^{*} \end{align*} となるので\(A+A^{*},AA^{*}\)はエルミート行列となる。(8)
\begin{align*} e^{iH}\left(e^{iH}\right)^{*} & =e^{iH}\left(e^{-iH^{*}}\right)\\ & =e^{iH}e^{-iH}\\ & =e^{iH-iH}\cmt{\because\left[iH,-iH\right]=0}\\ & =e^{O}\\ & =I \end{align*} となるので、\[ \left(e^{iH}\right)^{*}=\left(e^{iH}\right)^{-1} \] となり、\(e^{iH}\)はユニタリ行列となる。
(9)
\(\Rightarrow\)
エルミート行列\(H\)は\(H=H^{*}\)なので\(HH^{*}=H^{*}H\)なので正規行列となる。逆は一般的に成り立たない
反例で示す。\(A=iI\)とおくと、
\begin{align*} AA^{*} & =iI\left(-iI\right)\\ & =I \end{align*} \begin{align*} A^{*}A & =-iI\left(iI\right)\\ & =I \end{align*} となり、\(AA^{*}=I=A^{*}A\)なので正規行列であるが、\(A=iI\ne-iI=A^{*}\)なのでエルミート行列ではない。
従って逆は一般的に成り立たない。
(10)
\(n\)次エルミート行列は\(n\times n\)行列であり、独立な成分は区別出来る\(n\)個の中から重複を許して2個選ぶ場合の数なので\(H\left(n,2\right)=C\left(n+2-1,2\right)=C\left(n+1,2\right)=\frac{\left(n+1\right)n}{2}\)個となる。従って題意は成り立つ。
ページ情報
| タイトル | エルミート行列の性質 |
| URL | https://www.nomuramath.com/u16h0wef/ |
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ユニタリ行列の性質
ユニタリ行列$U$の逆行列$U^{-1}$もユニタリ行列である。
反エルミート行列の性質
反エルミート行列の対角成分の実部は0である。
反対称行列の性質
反対称行列同士の和は反対称行列になる。
対称行列の性質
対称行列同士の和は対称行列になる。

