整列性と整列集合の定義と性質

整列性と整列集合の定義と性質

整列性と整列集合の定義

(1)整列性

集合\(X\)に2項関係\(R\)が与えれた有向グラフ\(\left(X,R\right)\)があり、空でない任意の部分集合\(Y\subseteq X\)が最小元を持つとき、\(\left(X,R\right)\)は整列性をもつという。
ここで、\(m\in X\)として、任意の\(x\in X\)について\(mRx\)を満たすとき、\(m\)を最小元という。
広義全順序集合\(\left(X,\preceq\right)\)では空でない任意の部分集合\(Y\subseteq X\)が最小元\(m\in Y\)をもつとは、任意の元\(y\in Y\)について、\(m\preceq y\)となることです。
また、狭義全順序集合\(\left(X,\prec\right)\)では空でない任意の部分集合\(Y\subseteq X\)が最小元\(m\in Y\)をもつとは、任意の元\(y\in Y\setminus\left\{ m\right\} \)について、\(m\prec y\)となることです。

(2)整列集合

集合\(X\)に2項関係\(R\)が与えれた有効グラフ\(\left(X,R\right)\)があり、\(\left(X,R\right)\)が反対称律かつ整列性をもつとき、\(\left(X,R\right)\)を整列集合という。
整列集合であることと、広義全順序集合\(\left(X,\preceq\right)\)が整列性をもつことは同値である。
すなわち、広義全順序集合\(\left(X,\preceq\right)\)の任意の空でない部分集合が最小元を持つとき\(\left(X,\preceq\right)\)を整列集合といいます。
狭義全順序集合\(\left(X,\prec\right)\)でも同様です。

整列性と整列集合の性質

(1)

整列性と反対称律を満たすことと、整列性と広義全順序関係(反射律・反対称律・推移律・完全律)を満たすことは同値である。

(2)

整列集合ならば、整礎集合となる。
逆は一般的に成り立たない。

(3)

整列集合\(\left(X,R\right)\)は\(R\)の非対称部分\(\prec_{R}\)についての無限狭義降下列をもたない。
ここで、\(R\)の非対称部分は\(a\prec_{R}b:\Leftrightarrow aRb\land\lnot\left(bRa\right)\)である。

(1)

集合\(X\)に2項関係\(R\)が与えられた有向グラフ\(\left(X,R\right)\)があるとき、整列性を満たしても反対称律を満たすとは限りません。
反例で示す。
集合を\(X=\left\{ a,b\right\} \)として2項関係を\(R=\left\{ \left(a,a\right),\left(a,b\right),\left(b,a\right),\left(b,b\right)\right\} \)とすると、
\[ \min\left\{ a,b\right\} =\left\{ a,b\right\} \] \[ \min\left\{ a\right\} =a \] \[ \min\left\{ b\right\} =b \] となり、整列性を満たすが、\(aRb\land bRa\Leftrightarrow\top\land\top\Leftrightarrow\top\)であるが、\(a\ne b\)であるので、反対称律を満たさない。
従って、整列性を満たしても反対称律を満たしているとは限らない。

(2)

整列集合は自然数全体の集合\(\mathbb{N}\)を抽象化したものです。

(3)

空集合\(\emptyset\)は空関係\(\emptyset\subseteq\emptyset\times\emptyset\)により順序\(\preceq\)を入れると、整列集合\(\left(\emptyset,\preceq\right)\)になります。

(4)

全順序集合で最小元を持っても整列集合とは限らない。
例えば\(X=\left[0,1\right]\)として通常の大小関係をとると、全順序集合となり、全体集合\(X\)では最小元は\(0\)であるが、部分集合\(\left(0,1\right)\subseteq X\)の最小元は存在しないので整列集合とはならない。

(5)

整列集合の定義の全順序集合を半順序集合にしてもいい。
何故なら、任意の元\(a,b\in X\)をとると整列集合なので\(\left\{ a,b\right\} \)は最小元をもつ。
従って\(a\preceq b\lor b\preceq a\)が成り立つので全順序集合となるからである。

(1)

順序を通常の大小関係とすると、自然数全体の集合\(\mathbb{N}\)は整列集合であるが、整数全体の集合\(\mathbb{Z}\)や有理数全体の集合\(\mathbb{Q}\)や実数全体の集合\(\mathbb{R}\)は整列集合でない。

(2)

全体集合を\(\mathbb{N}\cup\left\{ \omega\right\} \)として自然数同士は通常の大小関係を入れて自然数と\(\omega\)では常に\(\omega\)のほうが大きいとすると\(\left(\mathbb{N}\cup\left\{ \omega\right\} ,\preceq\right)\)は整列集合となる。
この整列集合\(\left(\mathbb{N}\cup\left\{ \omega\right\} ,\preceq\right)\)は次のようになる。
\[ 1\prec2\prec3\prec\cdots\prec\omega \]

(3)

自然数全体の集合\(\mathbb{N}\)に奇数同士、偶数同士では通常の大小関係を入れて奇数と偶数では常に偶数のほうが大きいとすると\(\left(\mathbb{N},\preceq\right)\)は整列集合となる。
この整列集合\(\left(\mathbb{N},\preceq\right)\)は次のようになる。
\[ 1\prec3\prec5\prec\cdots\preceq2\prec4\prec6\prec\cdots \]

(1)

\(\Rightarrow\)

集合\(X\)に2項関係\(R\)与えられているとする。
前件より、\(R\)は反対称律を満たす。

反射律

任意の\(a\in X\)を選ぶ。
そうすると、\(X\)は整列性を満たしているので、部分集合\(\left\{ a\right\} \subseteq X\)について、最小元が存在する。
このとき、部分集合\(\left\{ a\right\} \)の元は\(a\)のみなので、\(a\)は最小元となり、\(\forall x\in\left\{ a\right\} ,aRx\)となるので、\(aRa\)を満たす。
従って、任意の\(a\in X\)について、\(aRa\)となるので反射律を満たす。

推移律

任意の\(a,b,c\in X\)を選ぶ。
このとき、\(aRb\)かつ\(bRc\)を満たしているとする。
前件より整列性を満たすので、空集合でない部分集合\(\left\{ a,b,c\right\} \subseteq X\)には最小元が存在する。
最小元が\(a\)とすると、\(aRc\)を満たす。
最小元が\(b\)とすると、\(bRa\)を満たし、\(aRb\)を満たすとしていて、前件より、反対称律が成り立つので\(\top\Leftrightarrow bRa\land aRb\Rightarrow a=b\)となり、\(\top\Leftrightarrow bRc\Leftrightarrow aRc\)となる。
最小元が\(c\)とすると、\(cRb\)を満たし、\(bRc\)を満たすとしていて、前件より、反対称律が成り立つので\(\top\Leftrightarrow cRb\land bRc\Rightarrow b=c\)となり、\(\top\Leftrightarrow aRb\Leftrightarrow aRc\)となる。
従って、最小元が\(a\)でも\(b\)でも\(c\)でも\(aRc\)となる。
これより、\(aRb\)かつ\(bRc\)ならば、\(aRc\)となるので推移律を満たす。

完全律

任意の\(a,b\in X\)を選ぶ。
そうすると、部分集合\(\left\{ a,b\right\} \subseteq X\)は空集合ではないので整列性より、\(\left\{ a,b\right\} \)は最小元をもつ。
\(\left\{ a,b\right\} \)の最小元が\(a\)とすると\(aRa\land aRb\)より、\(aRb\)を満たし、最小元が\(b\)とすると、\(bRa\land bRb\)より、\(bRa\)を満たす。
これより、\(\left\{ a,b\right\} \)の最小元が存在するので、最小元は\(a\)または\(b\)であり、\(aRb\)または\(bRa\)を満たすので、完全律を満たす

-

従って、前件より、反対称律を満たし、反射律・推移律・完全律も満たすので、広義全順序関係(反射律・反対称律・推移律・完全律)を満たす。
故に整列性と広義全順序関係(反射律・反対称律・推移律・完全律)を満たす。

\(\Leftarrow\)

明らかに成り立つ。

\(\Leftrightarrow\)

これらより\(\Rightarrow\)と\(\Leftarrow\)が成り立つので\(\Leftrightarrow\)が成り立つ。

(2)

\(\Rightarrow\)

整列集合ならば、整礎集合となる。
有効グラフ\(\left(X,R\right)\)を整列集合とすると\(\left(X,R\right)\)は反対称律と整列性を満たす。
このとき、空でない任意の部分集合\(A\subseteq X\)を選ぶ。
そうすると整列性より、\(A\)は最小元をもち、最小元ならば極小元であるので、\(A\)は極小元をもつ。
従って、空でない任意の部分集合\(A\subseteq X\)について、極小元をもつので、整礎性を満たす。
従って、\(X\)は整礎集合となる。

逆は一般的に成り立たない

反例で示す。
\(X=\left\{ a_{1},a_{2},b\right\} \)として2項関係\(\prec\)を\(a_{1}\prec b,a_{2}\prec b\)のみとすると、2項関係\(\prec\)は整礎関係となるので\(\left(X,\prec\right)\)は整礎集合となる。
しかし、この\(X\)には部分集合として\(X=\left\{ a_{1},a_{2},b\right\} \)を選ぶと最小元が存在しないので、整列集合ではない。
従って、整礎集合であっても整列集合とは限らない。

別証明

\(\Rightarrow\)を示す。
\(\left(X,\preceq\right)\)を整列集合とする。
このとき、\(\left(X,\preceq\right)\)は全順序集合でもある。
\(X\)の空でない任意の部分集合\(A\subseteq X\)を選ぶ。
そうすると、\(X\)は整列集合なので、ある最小元\(m\in A\)が存在して、任意の\(x\in A\)について、\(m\preceq x\)となる。
このとき、\(m\)が\(A\)の極小元でないと仮定する。
そうすると、ある\(y\in A\)が存在し、\(y\prec m\)となる。
これより、任意の\(x\in A\)について、\(m\preceq x\)となり、ある\(y\in A\)が存在し、\(y\prec m\)となるので矛盾。
従って、背理法より、\(m\)が\(A\)の極小元となる。
これは任意の空でない部分集合について成り立つので\(X\)は整礎律を満たす。
これらより、\(X\)は整礎律を満たすので、整礎集合となる。
故に\(\Rightarrow\)が成り立つ。

(3)

整列集合ならば整礎集合であり、整礎集合は\(R\)の非対称部分\(\prec_{R}\)についての無限狭義降下列をもたないので、整列集合も\(R\)の非対称部分\(\prec_{R}\)についての無限狭義降下列をもたない。
従って題意は成り立つ。

(3)-2

直接示す。
整列集合\(\left(X,R\right)\)があるとき、\(R\)の非対称部分を\(\prec_{R}\)とする。
このとき、\(X\)にある列\(\left(x_{k}\right)_{k\in\mathbb{N}}\subseteq X\)が存在し、無限降下列\(x_{1}\prec_{R}^{-1}x_{2}\prec_{R}^{-1}\cdots\)になっていると仮定する。
そうして、\(A=\left\{ x_{1},x_{2},\cdots\right\} \)とおくと、\(A\ne\emptyset\)となり、\(\left(X,R\right)\)は整列集合であり、部分集合\(A\subseteq X\)は空集合ではないので\(R\)最小元\(m=\min\left(A\right)\in A\)が存在する。
これより、\(m\)は\(R\)最小元なので、\(\forall a\in A,mRa\)となる。
このとき、\(m\in A=\left\{ x_{1},x_{2},\cdots\right\} \)なのである自然数\(n\in\mathbb{N}\)が存在し、\(m=x_{n}\)となる。
しかし、\(x_{n+1}\in A\)であり、\(x_{n+1}\prec_{R}x_{n}=m=\min\left(A\right)\)であり、
\begin{align*} \top & \Leftrightarrow x_{n+1}\prec_{R}m\\ & \Leftrightarrow x_{n+1}Rm\land\lnot\left(mRx_{n+1}\right)\cmt{\because a\prec_{R}b\Leftrightarrow aRb\land\lnot\left(bRa\right)}\\ & \Leftrightarrow x_{n+1}Rm\land\lnot\top\cmt{\because\forall a\in A,mRa}\\ & \Leftrightarrow x_{n+1}Rm\land\bot\\ & \Leftrightarrow\bot \end{align*} となるので矛盾する。
従って背理法より、任意の列\(\left(x_{k}\right)_{k\in\mathbb{N}}\subseteq X\)について、無限降下列\(x_{1}\prec_{R}^{-1}x_{2}\prec_{R}^{-1}\cdots\)とはならない。
これより、整列集合\(\left(X,R\right)\)は\(R\)の非対称部分\(\prec_{R}\)についての無限狭義降下列をもたない。
従って題意は成り立つ。
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整列性と整列集合の定義と性質
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